「でもまだご飯もできてないし、お風呂も先約がいるからどっちもダメなんだけどね〜」
「いや、そうじゃなくて!」
「ん〜? ひょっとして君、こういうの好きじゃないの? もう少し乗ってきてもらうと助かるんだけど」
「てゆか何をやってみたかったんだよ!? というか、お前は一体誰なんだ?」
そもそも漫画のようなベタすぎる展開、本当にやるやつがいるとは。
「あ、それそれ。大樹くん、昨日パパから何も聞いてないの?」
「パパ!? 誰だそれ。そもそも俺が昨日会ったのは……」
引っ越し屋のお兄さんと、寮長のおじさん、そしてこの学校の学園長くらいだ。入寮手続きでバタバタしたせいで、それ以外の人と話した記憶などない。
「だって大樹くん、パパの部屋に呼び出されてたって寮長さんからもそう聞いたけど?」
「パパの部屋ってまさか学園長室のことか? ……てことはお前、まさか?」
「てっきりパパから『よろしく頼む』みたいなこと言われたのかと思ってたんだけどな〜」
「…………」
確かに言われた。こいつの言ってることは何一つ間違ってない。あろうことか辻褄が全て合ってしまう程度には。しかも俺の想像を遥かに超えすぎた、斜め上の展開に。
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